姫路市飾磨区英賀宮町にある英賀(あが)神社様にて、鳥居の建て替え工事。高さ17尺、岐阜県産中津川石の鳥居

姫路市・たつの市・太子町・相生市を中心にお仕事をさせていただいています、八田(はった)石材の八田俊之です。姫路市飾磨区英賀宮町にある英賀(あが)神社様にて、鳥居の建て替え工事をさせていただきました様子をご紹介します!

 

姫路市飾磨区英賀宮町 英賀(あが)神社 岐阜県産中津川石 高さ17尺の鳥居

 

前回のブログでは、以前からあった北木石の鳥居の解体が終了したところまでをご紹介しました。なんと300年ほど前に建てられずっと地域を見守ってきた、とても歴史のある鳥居でした。解体は今年の春頃に行い、半年ほど経った今回、いよいよ新しい鳥居の設置工事が始まります!

 

基礎工事

まずは基礎工事です。重量がある鳥居をしっかりと支える基礎を築きます。かなり深く掘り下げたところに、基礎の一番下にあたるコンクリートを打ちました。

 

完成した基礎の上に、さらにもうひとつコンクリートの基礎を打ちます。そのための鉄筋を組んでいます。

 

枠の中にコンクリートを流し込みました。これを養生して基礎が完成します。

 

養生を経て基礎が完成しました。この基礎の上に鳥居の柱を据え付けて、その後柱を挟み込むようにさらに基礎を固めますので、今見えている基礎は完成すると地中に隠れる部分です。完成した外見からは想像がつかないと思いますが、鳥居の基礎は実はこうした施工をしています。

 

製作・据え付け

鳥居の製作風景です。今回は、岐阜県中津川市の鳥居専門会社さんと協力して製作しました。

 

柱の彫刻です。ちょうどコロナウイルスの影響で直接見に行くことが難しかったので、写真を送ってもらったりして度々確認をしながら進めました。

 

いよいよ完成した鳥居の据え付けが始まります! 彫刻が施された柱です。写真手前の柱下部には設置の際に角度を調整するための鉄板が取り付けてあります。

 

この柱の中心には一本の鉄筋が下から上まで貫通していて、しっかりと鳥居を支える構造になっています。その鉄筋の先端に部品を取り付けて、柱を吊り上げる準備をしています。

完成すると地下に埋まってしまう部分も含めて、柱だけでも6メートルの長さがあります! 今回の鳥居は、岐阜県産中津川石の一本の石で作られています。6メートルもの長尺の石は一般的に扱う石材ではほとんど取ることができません。中津川石は、必要な長尺の石を取ることができる、鳥居に最適な石材なのです。

 

右の柱を立てています。25トンの大型クレーンで吊り上げて、基礎の上に設置するところです。

 

左側の柱も同様に、クレーンで吊り上げて設置します。黄色いベルトを柱の上部に固定して吊り上げます。こういった技術がなかった時代は、柱の両端2箇所にベルトを巻いて吊り上げるしかなかったのですが、中心を貫く鉄筋は鳥居の補強になるだけでなく、据え付けの際にも役立ちます。普段あまりなじみのない鳥居の世界も、日々進歩しています^^

 

左の鳥居の根元を基礎の上に設置しています。鳥居の柱は、通常少し内側に傾いていますよね。柱の下部に取り付けた鉄板にボルトを打ち込んでこうして角度を調整し、しっかりと固定しているのです。この部分はこの据え付け工事のあと、さらに基礎コンクリートで固めます。

 

一番上の笠の部分を残して、その下の貫(ぬき)まで据えました。右側では、左側の笠を吊り上げる準備をしています。

 

今回の笠は左右2本でできており、全長6,5メートルあります。接続部分はホゾになっていて、かみ合うようになっています。

 

右側の笠を据えています。一見すると石を積み上げただけのように見えるかもしれませんが、柱だけでなくこの笠にも鉄筋が一本通っていて、石と金具を併用した耐震構造になっています。現代の技術を駆使した建築基準法も満たす工法で、大きな地震などがあっても倒れない強度を持たせています。

 

一番上の笠と、中央の額を設置して据え付けが完了しました。

 

柱石基礎

鳥居の据え付けが終わった状態です。この上からさらにコンクリートで固めて、柱をしっかりと固定します。

 

型枠の中にコンクリートを流しこみました。養生して基礎が完成します。

 

完成した基礎です。この基礎も、地中に隠れる部分です。このあと柱の根元に地輪と呼ばれる石を挟み込み、基礎の周りの土を埋め戻して参道の石工事をして完成となります。

 

完成

完成しました!!

 

高さ17尺(5メートル強)の、大型の八幡型の鳥居です。堂々とした風格と、白く気品のあるたたずまいです。鳥居の後ろにある神門もこのたび新しくされています。昨年新しくされた神殿へと続く参道の石工事も、当店でさせていただきました。参道の石や門の一番下の基礎石は、以前のものを再利用しています。

 

写真には写っていないのですが、完成の日は平日にも関わらずたくさんの方が見に来てくださっていて、最後に額を設置した際には自然と拍手が沸き起こりました! 地域に密着して、地元の皆さんに愛されている神社様だからこそですね。

両脇の灯篭の上部もこの機会に据え直しました。鳥居と同様に参道などもすべて新しく作りかえる方法ももちろんありますが、奈良時代よりも前に創建されたとも言われるとても古い神社の、これまでの歴史を少しでも感じていただけるように、古くからあるものをできるだけ残す形で施工しました。そのことに気付いて喜んでくださる方もいらっしゃって、思いが伝わったことがうれしいです^^

これまで建っていた北木石の鳥居は、建てられてから300年の長い間地域を見守ってくれていました。新しくなった鳥居にも、これから300年は!^^ 地域方々やお参りに来られるたくさんの方を見守ってほしいです。このたびは、鳥居工事をお任せいただいてありがとうございました。