姫路市大善町の宝積寺様にて山門の改修工事。曲線ベンチの憩いスペース
姫路市・たつの市・太子町・相生市を中心にお仕事をさせていただいています、八田(はった)石材の八田俊之です。姫路市大善町の宝積寺様にて、山門の石工事・ベンチ設置工事をお任せいただきましたので、ご紹介いたします!

姫路市大善町 宝積寺 山門石工事・ベンチ設置
今回は、兵庫県姫路市大善町にある黄檗宗(おうばくしゅう)のお寺様、宝積寺(ほうしゃくじ)様での石工事の事例をご紹介します。宝積寺様は姫路市の中心部に近い場所にあり、姫路城からも車で5分ほどの街中にあるお寺様です。数年前からお声がけをいただき、ご縁をいただいております。
こちらは宝積寺様の改修前の山門です。立派で趣のある山門ですが、建立からずいぶん年月が経って老朽化が進んでいましたので、「改修してきれいにしたい」とご相談をいただきました。あわせて、山門の表側にある寺標(寺院名が刻まれた石碑)も新しくしたいとのことでした。
こちらは山門を内側から見た様子です。しっかりとした作りですがやはり経年劣化が見られ、石貼りの部分もかなり古くなっています。途中に段差があるので鉄板を敷いて対応されていましたが、今回の改修でこうした点も歩きやすく安全にしたいとご希望でした。これまで歴史を重ねてきた山門ですので、もともと使われていた石材をきれいにして再利用する方法もありましたが、安全性や将来的な維持も考慮されて「この機会にすべて新しくしたい」とご要望がありましたので、全面的に作り替える形で改修工事を行うことになりました。
工事開始です。お寺の内側から外を見ているところです。まずは、古い山門をすべて丁寧に取り外してから、土木屋さんが頑丈な基礎工事を行ってくれました。今回の改修工事は、私たちのほかに、建物を手がける大工さんと屋根の瓦屋さん、基礎工事を行う土木屋さんの4社が協力して進めてほしい、というご依頼でした。
土木屋さんが施工してくれた基礎の上に、石を据え付けていきます。周りを囲む巻き石と、大きな柱を乗せるための束石(つかいし)を据え付けました。
さきほど私達が設置した基礎石の上に、大工さんが柱や梁を組み上げ、瓦屋さんが屋根瓦を葺き、壁の部分も仕上げていきます。そして、一番最後に石貼り工事を行いました。大工さんや瓦屋さんの作業中に材料などが落ちて石が汚れたり傷ついたりしないように、最後に石貼り工事を行いました。
山門の工事が進む中、お寺様から追加のご要望をいただきました。山門を入ってすぐの場所に、「皆さんがゆっくり休憩できるスペースを作りたい」とのことで、門をくぐって少し右手の場所にベンチを設置することになりました。
まずは基礎工事を行い、設置準備をしました。ご希望を伺ってベンチを設計し、ベンチの周りは乱貼りで仕上げることになりました。
追加工事の様子です。オリジナルでデザインした曲線のベンチを設置して、周りに乱貼りをしているところです。乱貼りは、様々な形の自然石を、形や大きさを活かしてあえてランダムに敷き詰める施工方法です。
大工さん、瓦屋さん、土木屋さん、そして私たち石材店が力を合わせて、すべての工事が完了しました!
山門と寺標です。今回の山門石貼りは、宝積寺様のご本山、京都府宇治市にある萬福寺様の石貼りの形式に倣って施工しました。正方形の御影石を菱形に敷き詰めていく「四半敷き(しはんじき)」という特別な工法で、弊社では以前にも施工の経験がありますが、高い技術力が求められます。階段周りは経年で少しデコボコしているところもありましたが、新しくなり安全性も高まっています。右側の寺標は、表面を小たたき仕上げで仕上げています。新たに文字を彫刻して作り直しました。

山門の内側です。とてもきれいで安全性の高い、憩いのスペースに生まれ変わりました!

追加でご依頼いただいたベンチは、直線を基調にしたデザイン2つと、波のような柔らかい曲線でできたデザインの3通りをご提案して、こちらの曲線のデザインをお選びになりました。乱貼りのスペースのどこに、どういった角度で設置するかといった点まで細かくお打ち合わせをして決定しました。

ベンチの天板は桜御影石の磨き仕上げで、脚の部分にはビシャン仕上げという自然な風合いを活かした加工を採り入れています。横幅は約1.8mありますので、3人ほどゆったりと座っていただけます。
自然石の乱貼りは、住宅等でよく使われる黄色みの強いものではなく、お寺様や山門の雰囲気に合うように、暖かみがありながらも落ち着いたシルバー系の石をお選びいただきました。

今回の山門改修は、大工さん、瓦屋さん、土木屋さん、石材店、それぞれの工事が大規模だったため、当初の予定より全体の工期が長くなりましたが、お寺様にとって大切なお施餓鬼(せがき)法要の前日に、すべての石工事を完了させることができました。お寺様からは「間に合ってよかった」「きれいにできましたね」と、お褒めの言葉をいただきました。このたびは、大切な節目となる山門改修工事にあたり、お手伝いをさせていただきましてありがとうございました。今回の工事では、高い技術力が求められる「四半敷き(しはんじき)」を再び経験させていただき、弊社の職人にとっても大変良い経験となりました。大変貴重な機会をいただきましたことにも、改めまして御礼申し上げます。お寺様や信徒様のお役に立てることがございましたら、またお気軽にお声かけくださいませ。
神社・仏閣・記念碑に関する記事







